51、お風呂屋さん



屋形にお風呂はありますねんけど仕込みさんの時は

外の銭湯に行くのんが決まりどした

舞妓に出てからは家のお風呂に入ってもええのどすけど

仲間の舞妓ちゃん達はお風呂屋さんへ行く人も多かったんで

みんなで行く方が楽しおしたし、お座敷が終わった後の

日課どした

舞妓の髪、結うたまま入るのどすし、はたから見たら奇妙な

光景どっしゃろけど、なんせ花街の中にあるお風呂屋さんの事

どすし、うちらも他のお客さんも普通のいつも通りの事どす

お風呂の中では「こんばんわ姉さん お疲れやす」

「さいぜんはおおきに姉さん」とお座敷と同じ様な会話が

交わされて「姉さんお背中流させとおくれやす」

「かまへんぇ あんた自分の事しよし」

「へぇおおきに姉さん」とあっちこっちで同じ声がします

仕込みさんの頃からお風呂屋さんへ行って先輩やお茶屋さんの人

と出会うたら必ずお背中流させて貰うんえとお母さんから

言われていました

舞妓になってもそれは変わらへんのどす

そのうち自分も先輩になって仕込みさんやら後輩の舞妓ちゃんから

「姉さんお背中流させとおくれやす」と声がかかって

「かまへんぇ」と言う時、きつうお姉さんになった気ぃしました

脱いだ着物などを入れる行李(こうり)と呼ばれる柳で編んだカゴが

あって行きつけのお風呂屋さんには自分の名前の入った行李がありました

そんな懐かしいお風呂屋さんも一軒、又一軒と花街から姿を消して

寂しい限りどす

おおきに  ほな  又

#日本語

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