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引き祝い



芸妓や舞妓を辞めて花街から出る時、ご挨拶やらお配りもんやらを

しますねんけど、それらをまとめて引き祝いと言います

三角の形をした紙に「引き祝」と芸名、本名が書いてあるもんを

お配りもんに付けて配るのんどす

お配りもんは昔はお赤飯で、白蒸しと呼ばれる白いおこわやったら

「二度と花街には戻りません」と言う印でお赤飯が入ってたら

「又、戻ってくるかも知れません。その時はよろしゅうおたの申します」

の意味やったとか

真っ白の白蒸し配るんも、なんや大層らしいし、赤い南天の実をそっと

添えると云うのんがええのぇと言う事で

南天の実入りの白蒸しを配らせて貰いました

今ではお砂糖やハンカチ等、白いもんを配らはるのが一般的になってるて

聞きました

引き祝いのご挨拶まわりには白塗りのおしろいはせぇしません

無地の一つ紋に普通のお化粧で行きます

素人さんに戻るのんを「まちの人になる」と言うてました

「おめでとうさん」

「まちの人にならはるんやなぁ おきばりやぁ」

「惜しいこっちゃ」

お茶屋さん、お師匠さん、検番事務所の人

ごあいさつが全部終わった後、お稽古場に深々頭を下げました

「引き祝いをして花街を出はってもお盃を交わした姉さんとは一生のお付き合い

どっせ。 何をしてても、何処へ行かはっても忘れんとおきや」

最後にお母さんが言わはった事どす

皆様、長い事 紅子の「知っといやすか」にお付き合い下さりありがとうございました

この「引き祝い」をもちましておしまいとさせて頂きます

昔々の懐かしい思い出、思わず吹き出してしもたり、今更ながら恥ずかしなって

しもたり「知っといやすか」を通して、私自身、大切な事があらためて甦って来た

ように思います

お名残りおしゅうはございますけど

おおきに  ほな  さいなら

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