• 紅子

31 一見さんお断り


京都の一見さんお断りは、ずいぶんと有名な話どすけど、最近は初めてのお客さんでも大丈夫なお店が多なりました。

そんでもお茶屋さんや花街のお料理屋さんでは、まだまだ一見さんは

かんにんしとくれやすと云う所がほとんどや思います。

うちが出たての舞妓やった頃、夕方お客さんがみえられましてんけどお顔に

覚えがなかったもんで「すんまへん初めての方は堪忍させて

もろてんのどっせ」

と言いました所、そのお方は「そうですかぁ、残念やな~ところでおたくお名前は?」って言わはります

「へえ~紅子言います」とお答えしますとお辞儀をして出て行かはりました。

しばらくして玄関で「ごめんください、紅子さんいやはりますか?」

と声がします

出てみると先程のお客さんが「紅子さんさっきお目にかかりましたんで、もう

一見さんやおへんなぁ ハイこれお土産のケーキ」と箱を出されました。

「この人上手い」と思わず吹き出してしまい、お母さんにこの事伝えますと

「上がっておもらい」と言わはりますし、お座敷へご案内して

お茶の準備をしてました。

ご挨拶に行かはったお母さんが二階からドドド~っと階段を滑り落ちる様な

音を立てて降りて来はって

「あんた!Y社のT会長さんやないかいな 知らんのか?」

ってきつう怒ってはります

聞けば日本で有名な下着の会社の、これまた有名な会長さんでした。

会社の名前は知ってますし、うちもその下着着てますけど、出たてのうちは

そんな偉い方のお座敷へはよせてもろた事おへんしお顔知りませんでした

平謝りに謝っているうちをそのお客さんは「ただのパンツ屋です」と慰めて

くれはりましたけど、お母さんには散々叱られました

「お座敷でお目にかからんでも自分とこのお客さんのお顔ぐらい新聞とか本とか見て覚えとくもんどっせ」

ほんまにその通りどす。

今でも思い出しただけで、身が縮む大失敗どす

おおきに  又  おはように

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