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  • 紅子

12.東京行き


お店出しが済んだら姉さんに東京へ連れて貰う行事があったんどすけど、

これはうっとこだけの事やったんか花街全体の行事やったんか今となってはよう判らしまへんのどすけど、

出たての舞妓同士「あんたの東京行きいつぇ?」とか話してたとこみると、

うちの屋形だけの事では無かった様な気ぃします

うちの屋形からは、

うちと同時にもう1人舞妓のお店出しをしましたんで東京行きは

うちとその舞妓ちゃんと姉さん2人ほんで屋形のお母さん、

何故かお茶屋さんのあばちゃん(仲居さんみたいな人)も一緒で大勢で賑やかな事どした

髪もほどかせてもろて、お洋服で、

なんや普通の女子高生に戻った様な気分で新幹線に乗りました

15、6歳の出たての舞妓2人と京都からあんまり出はった事無いのんと違うかなぁと思われるあばちゃんと

姉さん言うても当時20代かそこいらの2人とお母さんどっしゃろ、

知らんとこ行って地下鉄やら環状線やらを乗り継いで目的地へたどり着くんは、

そら珍道中どしたぇ

なんせ常は何処へ行くのもタクシーで舞妓のうちらに至っては車に乗るだけで行き先言わんでも、

ちゃんと目的地へ連れてくれはると言う生活どしたし

切符ひとつ買うんもどこ押したらええのか何をどうしたら行けるんか、

全然わからへんのどすし大変やったと思います

ホテルたら言うんも生まれて初めて泊まりましたし見るもの全てが感動の連続どしたなぁ

今から考えたら、アホみたいな話どすけど当時はこんなもんどした

こんなもんがこの後出張やなんや言うて日本全国どころか海外へも行くのどすさかい

ほんまにえらい事経験させてもろたと今更ながら感謝しますわ

ほな 又 おおきに

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