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  • 紅子

9.おちょぼ


うちはおどり中の4月が見習いどした

お店出しの日迄の1ヶ月間文字通り見習いをさせて貰うのどす。

見習いのお茶屋さんが決められ主にそこに来られるお客さんのお座敷で色々教えて頂くのどすけど見習いも終盤に差し掛かり

慣れて来ると他のお茶屋さんヘよせて貰う事もあります

見習いさんの間の帯は半分の長さの半だらり、うちらは半だらて言うてました

半だらで帯が軽いうちにおこぼ履いて歩くのに慣れる事や綺麗に裾さばきが出来るようになる事、ご不浄の場所、お酒を貰いに行く所、大きなお茶屋さんはお部屋がようけあるのでお部屋を覚えるだけでも大変

そんで前の晩お座敷で逢うた姉さんには

次の日の朝ご挨拶に行きます

「姉さん、やぜんはおおきに。又おたの申します」

やぜんって何? 前の晩の事?

覚える事いっぱいで、やる事いっぱいで大変どしたけど1ヶ月もしたら舞妓さんになれると思うと胸がいっぱいになりました

ほんでも時にはもうあかんと思うくらい

へこんでしもて、シクシク泣いていると

おっきい姉さんが「どこのおちょぼさんエ?さぁ、そないな所で泣いてんと顔見せとおみ なんェ、白粉ハゲてしもて

こっちへおいない、直してあげよ」と優しく直してくれはった事も…

引いてくれはる姉さんは厳しゅうてこんな時はビシッと叱られますけど、大きい姉さんはほんまに優しおした

昔は見習いさんの事おちょぼさんとも言うてはりました

ほな、又、おおきに

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